恋した責任、取ってください。
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とはいえ、気が重いのは否めない。
お昼休み中に会社近くにある美味しいと評判のケーキ店で選手の皆さん分のケーキを購入し、時間になるとその箱を両手に持って体育館へ向かう私の足取りは、すこぶる重かった。
特に大地さんと佐藤さんには合わせる顔がなくて、カロリーメイトとゼリータイプの栄養補助食品で簡単にお昼ご飯を済ませたあとに飲んだ愛用の胃薬は、全く効果を発揮していない。
「ああ、胃が……」
両手に荷物があるので、直接さすさすはできないけど、気持ちの上では一心不乱に胃の辺りをさすりながら体育館に続く廊下を歩く。
今朝、弥生には『2人とも気にしてないと思うよ』とは言われたものの、本当に2人が気にしていなくても、私が気にするっちゅーねん。
第一、大地さんの家も知らないのだ。
もし私の部屋の方向と全く逆で、私を送ったがために遠回りをさせてしまっていたのなら、ホールケーキを何個献上しても献上し足りない。
しかも、お詫びのつもりで勝手にケーキを用意したはいいけど、甘いものが苦手な男性ってけっこう多いんじゃない!?と今さら気づいてしまって、もうどうしたらいいか分からない……。
何なんだ私は、空回り名人か。
まずは昨日の失態をお詫びして、それから皆さんの好きなものをリサーチした上で改めてお詫びの品を献上したらいいじゃないのよ。
ケーキを買ってしばらくしてから気がついちゃうっていう、このなんとも表現し難いバカさ加減といったらもう……いっそ自分で全部食してしまおうかというレベルに値する。
と。
「お疲れさまで……って、あれ? 佐藤さん?」
「あ、お疲れさまです」
そんなことを考えている間に着いてしまった体育館、今日は佐藤さんが一番乗りの模様。
いつもいるはずの大地さんがいなくて、思わず「あれ?」なんて言っちゃったけど、でもほんと、大地さんがいないなんて珍しいな。