恋した責任、取ってください。
そうして着いた先はロッカールーム。
佐藤さんが言っていた通りブルスタの選手たちはほぼ全員が集まっていて、私服から練習着に着替えていたり、海外の有名な選手の話をしていたりと、雰囲気が高校生の部室だった。
ロッカールームの中は、両サイドの壁に選手個々のロッカーが整然と並んでいて、そこの中央に縦長にくっつけた4つのベンチがある。
大地さんはまず、皆さんに「おはよー」や「お疲れー」と声をかけてからベンチの上にケーキの箱を置き、ドアの脇に立っている私にニコニコと視線をよこすと、声を張った。
「昨日のお礼に、なっちゃんからケーキの差し入れだよー。一言お礼言ってから食えー!」
おぉぉ~!とどよめく室内は、一気に高校生の部室を思わせる雰囲気が増していく。
大人になっても、男の人は常に少年らしい。
我先にと競い合うように2つの小さな箱に群がり、目を爛々と輝かせながらケーキを選んでいる大きな体の少年たちの姿は圧巻の情景だ。
呆気半分、呆然半分で見ていると、器用にケーキを3つ手に持ち大地さんが近づいてきた。
それを、私、佐藤さんと渡すと、大地さんは自分用に持ってきたケーキの透明フィルムを剥がしながら、群がる大人少年に目を細める。
「誰も迷惑をかけられたなんて思ってないの、見たら納得できたでしょ? もちろん、ソウも俺も思ってない。みんな恥ずかしい失敗をしながら成長してゆくのです。分かった?」
「……はい」
「ソウなんてね、すっかり出来上がると可愛いんだよ~。すり寄ってきて甘えるの。普段ツンツンしてるからギャップがほんっとヤバい」
「えっ!?」
佐藤さんが酔うと可愛く甘えてくる!?
なかなか信じられずにちらりと当人を窺うと、私を励ますために恥を忍んで口を挟まなかった佐藤さんの顔が真っ赤に染まっている。
……あ、嘘じゃないんだ、そうなんだ。