恋した責任、取ってください。
 
恥ずかしい思いをさせてすみません、と続けようとした言葉は、しかし佐藤さんの気迫溢れる声によって、またしても飲み下すことになった。

さっすが生徒会長!

落ち込んでいる生徒--ここでいう私を励ますために身を削ってフォローしてくれるなんて、なんて素晴らしい会長なんだ!


「そうなんですね、ありがとうございます。そこまで励ましてもらうと元気出ます」

「いえ!」


ケーキの最後の一口を口に入れると、佐藤さんは律儀に「ご馳走さまでした!」と頭を下げて先にロッカールームを出ていく。

すると、それに気づいたザキさんが「ごちそーさん」と言いながら私の頭をポンポンし、佐藤さんの後を追って走っていった。


昨日の歓迎会のときも、気がつくとそうだったけど、佐藤さんとザキさんって、普段からなぜか一緒にいる率が高いんだよなあ……。

歳が1つ違いだから? 親友的な関係だから?

でも、生徒会長とヤンキーみたいな、一見すると火と油の関係に見えなくもない2人は実は仲がいいし、見ていると楽しいのは本当だ。

男の友情って、素敵。


そうこうしていると、ケーキを食べ終わった皆さんが次々と私の元にやってきては、なぜか頭をポンポンとしてから体育館へ向かっていく。

レギュラー陣だけではなく、ベンチメンバーや控えの皆さん、今年から加入した新人さんに至るまで、どういうわけか、そうなのだ。

ななな何!? 何かの儀式的な!?

信仰対象みたいで落ち着かないんだけれども。


「ウズラ〜、Thank you!」

「……おふっ!」


しかし、ルイネエだけはハグと頬キスで気持ちを表現してくれたので、どうやらこれは、儀式でも信仰対象でもなかったらしい。

私の頭をポンポンしても御利益があるわけじゃないし、ケーキご馳走さま、と言う代わりの皆さんの気持ちの現れなのだろう、きっと。
 
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