恋した責任、取ってください。
声をかけられ、慌てて取り繕う。
弥生と自分の出来を比較し、私のどこら辺が妹っぽいのだろうと、わりと本気で考え込んでしまっていたから、返事が遅れてしまった。
分かることは、私の中では妹は弥生みたいな子のことを指すわけだけど、世の中の妹像--とりわけ大地さんたちブルスタ選手の皆さんの中では、どうやら少し違うらしいということだ。
あれ? でも結局、チビでメガネで消極的に後ろ向きな性格に加えて、とんだ空回り野郎の私って、全然いいところがないんじゃない!?
極論に至って、ずーんと悲しくなった。
でもでも、これから頑張ってプラス要素を身につけていけるように善処しよう、うん。
「大地さん!練習!」
「おおっ!?」
「びびびっくりした……!」
すると、決意を新にした矢先、なんの前触れもなくロッカールームのドアが開けられ、と同時に誰かが大きな声を出したので、大地さんと私は驚きつつ慌ててそちらに顔を向けた。
見るとそこには、佐藤さんの姿が。
生徒会長だから大地さんを迎えに来たらしい。
「行きましょう!」
「ああ、うん。ごめんねなっちゃん。なんかよく分かんないけど、この通りソウが怖いから、あと任せてもいい? 終わったらおいで」
「……ええ、すぐに行きます」
早くしてくださいよと言わんばかりのオーラを放ち、腕を組んで仁王立ちのドS生徒会長さながらな佐藤さんに尻込みしつつ、大地さんは私に申し訳なさそうに眉を下げ、手を振る。
そんな怖い顔して佐藤さんどうしたのー!? とすでに戦々恐々の私は、なるべく佐藤さんと目を合わせないようにしながらコクリと頷く。
だって佐藤さんってば、フローズンアイの迫力が、やたらめったらすごいんだもの!
ただでさえ私の身勝手なお詫びのケーキで練習時間を割いてもらったのに、その上、大地さんまで足止めさせちゃってごめんなさいー。