恋した責任、取ってください。
4.灯台下暗しになれますか?
結論から言うと、6月に入ってからすぐに行われた植樹イベは大いに盛り上がって終わった。
普通に接せられるか不安だった大地さんとも、私としてはまずまずの手応え……というか、若い女の子はもちろん、ちびっ子からマダムまで幅広い年齢層の女性から彼は引っ張りダコで。
話す機会も、目が合うこともほとんどなく、私もまた運営のほうが忙しかったためにフラれたことをほぼ忘れて仕事に没頭できた。
同じ空間にいても仕事に優先的に集中できた自分に、この時ばかりは拍手を送りたい。
告白したことを完全に忘れられたわけではもちろんないけど、しっかり仕事モードに切り替えられた自分の精神力に少しだけ誇らしい気持ちになったって、バチは当たらないと思う。
イベントは、郊外の会場まで複数台のバスで向かい、そこから少し山を登って行われた。
伐採や土砂災害などで山肌が剥き出しになったところに、もともとそこに生えていた松やブナや杉の苗木を植えていくというもので、植樹が終わると、観光用に整備されている散策コースをみんなでブラブラしながらサポーターと選手の親睦を深めるという流れだ。
列の先頭は恵麻さんと数人のチーム・ブルスタのメンバー、それとガイドさんが引率し、私は違うガイドさんと最後尾につき、はぐれている人や具合が悪い人、落とし物やゴミがないかを注意深く見ながらゆっくり歩いた。
最後尾からだと、列の所々にポコポコと頭一つぶん抜けて選手の皆さんの頭が見えて面白い。
やはり一番迫力があったのはルイネエのドレッドヘアで、人一倍大きい声でのオネエ口調は凄まじいものがあったことは言うまでもない。
つい目で追ってしまうのは図らずも大地さんの頭で、遠くからでもすぐに見つけられてしまう自分の女々しさがホトホト嫌になる。
でも、それも仕方がないと開き直れるくらいには私の胸も穏やかになってきていて、今日は私なりに精一杯盛り上げてみましたけど楽しんでもらえましたか?と純粋に思えた私だった。