【完】俺のカノジョは生徒会長
「いらっしゃいませー、何名さまですか? 」
「連れが先に来ているのですが…」
「その方でしたら左奥の5番テーブルにいらっしゃいますよ」
ウエイトレスが若い女だったけど、変装のおかげでばれることはなかった。
これで紗良と心置きなくデートできる。
「紗良」
俺が声をかけると、紗良は満面の笑みで振り返った。
「雷っ! 」
俺は紗良の向かいに腰を下ろす。
そして、アイスコーヒーを頼んだ。
「悪かったな、遅くて」
「ううん、全然大丈夫。それよりその格好どうしたの? 」
「ああこれ。図書館帰りの大学生をイメージしたんだよね。これなら紗良とデートしてても変じゃないかなって」
「……雷って時々面白いよね」
紗良はクスクスと笑いだした。
「なんで? 」
俺は困惑しながら訊ねる。
すると紗良はさも面白そうに答えた。
「だって、普通こういうときにしか使わないファイルケースって家にある? ないと思うんだけど? 」
「俺もなんであんのかわかんねーんだよ。まー、いーだろ、別に」
俺は少し赤くなった頬を隠すようにそっぽを向いた。