【完】俺のカノジョは生徒会長



この俺が真面目に集会に出ている理由。それは、紗良のスピーチが聞けることと、集会の最後に紗良のピアノ伴奏で校歌を歌えるからだ。それがなければKINGsの集会を入れているだろう。

「夏河さん、ありがとうございました。続いて理事長、お願いします」

司会が淀みなく、すらすらと集会を進行していく。
だが俺は眠りそうだった。
理事長の話しは長くて堅苦しくて、いつも眠くなる。
でも俺は起きていた。
次の校歌を歌うために…。

「理事長、ありがとうございました。最後に皆さんで校歌を歌います。全員立ってください。伴奏は夏河さん、指揮は都野沢さんです」

でたよ、あの副会長。あいつ、都野沢 隼斗は副会長という役柄を利用して、いつも紗良に近づこうとするんだ。だけど紗良はすごい。さらりさらりとかわしていく。そんな紗良も好き。

ピアノ伴奏が始まる。
みんなが歌い出す。
この校歌、俺は紗良と付き合うまで覚えていなかった…というか、集会に参加していなかった。その時は紗良に毎日しごかれた。今となってはいい思い出だがな。

うちの校歌は間奏の伴奏が異常に難しい。まあ高校生が弾くからこんなものなのかもしれない。だが、難しいものは難しい。でも紗良はいつも綺麗に弾ききっていた。

「それでは3年E組から退場してください」

このアイリス学園は学力別クラスだ。A〜E組までがあって、基本的にA組が特進コース、B〜D組が普通科、E組は劣等生または問題児クラス。当然紗良はA組で俺はE組。でも、俺も勉強できるんだぜ? 紗良の次にだけど。いつも学年で2位。紗良が当然1位。

ま、紗良は万年A組で俺は万年E組だろうな。
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