駅のホームで会いましょう
ホームへ着くとすでに電車は出発した後だった。急いできたのになぁ。

「あのっ!」

声を掛けられ後ろを振り向くと、そこにはチョコレートブラウンの髪の小柄な女の子がいた。この制服は、高丘高校だな。でも、初対面の女が俺に何の用だ。

「俺に、何か…?」

「これっ、さっき階段で落としましたよ。あなたのですよね?」

その子の手には、俺の生徒手帳があった。

「あっ!ありがとうございます。」

「いいえ。どういたしまして。」

そう言って彼女は微笑んだ。



ドキッ…なんだよこれ。

「あ、電車。私行きますね。」





「おはよう~稜、今日もカッコイイね。」

朝からハイテンションに話しかけてきたのは、クラスメートの大野 浩(おおの ひろ)だ。俺の親友でもある。

「うっせー…なあ、お前って一目ぼれって信じる?」

「何!?稜、誰かに一目ぼれしたの!?」

あの子に会ってから、何かおかしいんだ。頭からあの子のことが離れない。



こんな調子で俺が授業に集中できるはずがなかった。
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