駅のホームで会いましょう
「これ、落としましたよ。」

後ろから声がして振り向くとそこには背の高い、男の人がいた。手には私のお守りが…

「あ、ありがとうございます。」

感謝の言葉と引き換えに、私はお守りを受け取った。そういえば、稜くんと出会ったのもここだったなぁ。あのときは、背の高い人で声を掛けにくかったし、怖かった。まぁ、すっごくいい人だってすぐに知ったけどね。あれ?さっきの人まだ私のこと見てる?

「あの…何か?」

「それ、何のお守りですか?」

「これ…私、高校生のときに脳の腫瘍を取り除く手術を受けたんです。そのときに、大好きな人から貰ったんです。直接ではなかったんですけど。」

稜くんがくれた、大切なもの。これを落としたなんて、最悪。

「そうなんですね…」








「まだ、持ってたんだね。ひまり、元気そうでよかった。」

この声って……


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