パラレル

直感

先輩の一言が気になりつつも、それがどういう意味か、正確には、先輩が彼女を見えているのかが気になっていたが、どうしても切り出せなかった。
それを知ってしまうのが、なんとなく罪のような、後ろめたい感情を僕に起こさせていたからだ。
とはいえ、やはり先輩に実際のところ、僕にはない感覚で彼女を見ていたのではないか、好奇心もあるが知りたいという欲求もあった。
矛盾した二つの感情を処理出来ないまま、サークルで再び先輩と会った時、少し戸惑った。
先輩は僕と会っても、今までと変わらない態度で、よぉ、と挨拶をしてきた。こちらが悩んでいることなど気付いていない様子だったので、僕は少しのがっかりした思いもあったが、今まで通りに接した。
実際、先輩は前のことなど覚えていないように僕と接し、皆と接し、明るく振る舞っていたので、僕もそれにつられる様にあの一言を忘れていった。