理想の恋人って!?
1.のせられて、デート!?
「明梨(あかり)ってさ、晃一(こういち)と付き合ったりしないの?」

 突然隣の席から言われて、私は「はぁ?」と大きな声を出してしまった。

 その突拍子もない発言の主で、同じ管理栄養学部三回生の美佳(みか)の顔をまじまじと見る。

「何の冗談?」

 私の問いかけに、美佳がかわいらしく小首を傾げ、セミロングの柔らかな髪が肩の上でふわりと揺れた。見た目はかわいいのに、美佳は冗談にもならないようなことを言う。

「なんで私が晃一と付き合わなきゃならないの?」
「だって、すごく仲いいじゃない」

 確かに……それは否定しない。

 私と晃一は小学校からの腐れ縁だ。中学は同じだったけど高校は別々になり、たまたま同じ大学に進学した。晃一が入学したのはスポーツ科学部で、二回生のときに合同授業でばったり顔を合わせた。そのとき、晃一の友達の陽太(ようた)が私の友達の美佳を気に入ったらしく、陽太に誘われて四人でご飯を食べにいった。それから四人で遊ぶようになったけれど、一ヵ月もしないうちに美佳と陽太が付き合い始めたのだ。

 今でもときどき四人でご飯を食べにいったり、カラオケに行ったりする。四人で遊ぶぶんには楽しいけれど、晃一は幼馴染みには気を遣わないからか、私に対しては結構辛口だ。だから、あえて二人きりで遊びに行きたいとは思わない。
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