理想の恋人って!?
「もしあいつらの思惑通り、俺たちが恋に落ちたらどうする?」
「そんなのありっこないじゃない。そりゃ、高校は違ったけど、私たち、いったい何年来の付き合いだと思ってるの? 私は晃一のこと、声変わりする前のかわい~い声だったときから知ってるのに」

 とたんに彼の表情が不機嫌になる。

「うっせー。んな昔の話、持ち出すなよ」
「あーあ、また減点」
「何がだよ?」

 信号で停車した晃一が、じろりと私を見た。

「私の理想の男性はそんなしゃべり方しないもん」

 私の文句を聞いて、晃一が小さく首を振った。

「面倒だな。だいたい、明梨の趣味がわからねぇ。スーツの似合う、エスコートのうまい大人な男って、どんなんだよ」
「年上のできるビジネスマンってイメージでやってみてよ。それか、お金持ちの御曹司」
「本気で言ってるのか?」

 晃一が目を見開いた。

「だって、晃一だって似たようなものじゃない。私、わざわざ妹のパンプス借りたんだよ?」
「ああ、そうだよな、明梨はいつもスニーカーに色気のないTシャツにジーパンで、ホント子どもっぽい。髪が長くなかったら男かと思うくらいだもんな」
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