理想の恋人って!?
「いくらなんでもそれは言いすぎじゃないの?」

 文句を言う私に、晃一が追い打ちをかけるように言う。

「美佳と同じ女子大生には到底見えない」
「そこまで言う!?」

 晃一ときたら言いたい放題だ。私はつんと前を向いた。早く出発すればいいのに、と思ったけれど、信号はまだ赤だ。

「今はラクロスの方が楽しいもん。ばっちりメイクしても汗で流れちゃうし。だから、ナチュラルメイクに合わせて服装もナチュラルなのっ」

 つっけんどんに言う私に、晃一がボソッと言う。

「でも、まあ、そういうワンピースも……なかなか似合ってる、かな。何て言うか……かわいい」
「へ!?」

 さっきまでけなしまくってた晃一が、不意打ちのように言った予期せぬ言葉に、私は驚いて運転席を見た。真顔の晃一と目が合って、なんだか落ち着かない。顔が熱くなってきて、手のひらでパタパタと扇ぐ。

「や、やだなぁ、変なこと言わないでよ。あ、ちょっとほら、信号、青!」

 私がフロントガラスの向こうを見たとたん、晃一が急にアクセルを踏み込んだので、私は反動で背中を座席に押しつけられた。

「んもう、もっと丁寧に運転してよねっ」
「っさいな、柄にもないことやらされて、こっちも動揺してんだよ」
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