理想の恋人って!?
「仲良く見えるのは美佳と陽太が一緒にいるからだよ。晃一と二人きりになったら何を言われるか……何を話していいか……わかんないもん」
「そうかなぁ? 明梨と晃一って一緒にいてすごく自然だし、気が合ってそうだもん」

 気が合ってるって……辛口に辛口で返しているだけだけど。

「それはお互い気を遣わないで言いたい放題できるからだよ」
「言いたいことを言い合える関係って大切だよ。私と陽太みたいに付き合ったらいいのに」
「あのねぇ」

 なんでそんな短絡的な思考になるんだろう。いくら気を遣わないで一緒にいられるからって、私と晃一が? 付き合ってデートをして……手をつないだり……キスしたり……とか?

 そんな想像をしてしまい、眉を寄せて思いっきり首を振る。

「それはない、ないない、絶対にありえない!」
「そんなに全力で否定するか?」

 通路を挟んだ左側から不満そうな声が聞こえてきた。話題にされた張本人、晃一が帆布のショルダーバッグに健康管理論の講義ノートとテキストを突っ込んでいる。
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