理想の恋人って!?
3.慣れないデート!
それから三十分ほど走って、晃一が郊外にあるシネマコンプレックスの駐車場にSUVを駐めた。車から降りてエレベーターに乗り、映画館のあるフロアに上がる。パネルに表示された上映中の映画のタイトルを見ながら、私はついに左足のかかとまでも靴擦れしたことに気づいた。
さすがに両足となると痛い。妹と靴のサイズは同じだけど、甲の幅が私の方が広いからいけなかったのかもしれない。失敗した。
小さくため息をついた私に気づいて、晃一が問う。
「観たい映画、ない?」
「あ、ううん。違う」
「じゃあ、どうかした?」
晃一が怪訝そうに顔を覗き込んできたけれど、慣れないパンプスを履いたせいで靴擦れして足が痛いだなんて、恥ずかしくて言えない。
私は何も答えずにパネルを見上げた。
晃一は美佳にロマンス映画を勧められたとき、〝背中がかゆくなる〟って言っていた。でも、私、ホラーは苦手だしアクションばかりの映画じゃ物足りないし……ちょっぴりラブロマンスの要素もある映画は……。
「これどう?」
「これは?」
私と晃一が同時に指さしたのは、宇宙戦争を舞台にした恋愛映画。
これなら晃一でも背中がかゆくならないで観られるかな、と思ったけど、晃一も観たかったとは意外だ。けれど、テレビCMで観たとき、CGとはいえスケールの大きな映像がものすごい迫力で、おもしろそうだと思った。それに二人とも楽しめるのなら最高だ。