理想の恋人って!?
「理想の格好をした晃一と理想のデートをしてみたら、恋に落ちちゃうかもよ?」

 美佳に真顔で言われて、私は困惑顔で晃一を見る。彼だって困っているはずだ。でも、予想外、晃一はおもしろがるような表情をしていた。その晃一の肩に肘を置いて、陽太が悪のりするように言う。

「それいいな。晃一の理想の女ってどんなんだ?」

 晃一が顎に手を当てて考え込むようにしながら言う。

「そうだなぁ……しいて言うなら、明梨とは真逆の女?」
「何それ」

 なんだか引っかかる言い方。

「スニーカーとかジーパンじゃなく、女らしいワンピースとヒールの細いパンプスが似合う清楚な感じ。乱暴な言葉遣いなんかしないし……俺の背中に平手でツッコミを入れたりしない女」

 晃一の言葉を聞いて陽太がうなずく。

「あー、そりゃ確かに明梨とは真逆だな」

 二人して失礼ねっ。

 私たちの通うこの大学は、鉄道の駅から離れた山の麓にあるため、最寄り駅からは自転車かバス通学になる。私は体力作りのために自転車をこいでいるのだけど、そのためにはスニーカーの方が楽だ。服装もジーパン、せいぜいキュロットかショートパンツ。

「明梨のワンピース姿なんか想像つかないな」

 陽太が言った。
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