理想の恋人って!?
「勝手に言ってて」

　これ以上三人の相手をしているのが馬鹿らしくなって、私は美佳の腕から抜け出して立ち上がった。

「明梨のワンピース姿、見てみた～い」

　美佳まで悪のりしている。無視して歩き出そうとしたのに、晃一の声が聞こえてくる。

「俺は見たくない。どうせ着慣れてないんだろ」
「なっ」

　晃一の失礼発言に私はキッと振り返った。

「わ、私だってワンピースくらい、たまには着るわよっ」

　入学式でも着たし、妹と遊びに行くときとか、年に二回、お正月とお盆におじいちゃんちにいとこが集まるときとか着るしっ。

「へえ、じゃあ着てみたら？」

　そう言ったのは陽太だ。ニヤニヤ笑いの顔がなんだかムカツク。

「それじゃ、お互い理想の相手になってデートしてみたら？　それでも恋が芽生えないなら、明梨にとって晃一は運命の相手じゃなかったんだって私たちも納得するし」
「そんなことして私に何のメリットがあるの？」

　私は陽太に向き直った。

「そうだなぁ……付き合えなんてもうおまえらをけしかけたりしない」

　私は晃一を見た。

「悪くはないね」

　彼は無表情で私を見返す。

「だな。こいつらがこれ以上うるさく言わなくなるんなら」
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