理想の恋人って!?
　男性の部屋でいきなりトイレを借りるのは恥ずかしいけれど、仕方がない。誠一さんに教えてもらった通り、玄関横にあるトイレに向かった。中でストッキングを脱いでかかとに絆創膏を貼り、またストッキングを履く。なんだか変な感じだけど、これで帰りは歩いて帰れる。

　トイレから出てリビングダイニングに戻ると、誠一さんが電話の受話器を下ろしたところだった。

「ハーフ・アンド・ハーフで、明梨ちゃんの好きなベーコンとアスパラのピザも頼んだよ」

　誠一さんの言葉に私は首を傾げる。

「私がベーコンとアスパラが好きだってどうして知ってるんですか？」
「晃一が言ってたよ」

　誠一さんが視線を向けたので、私も晃一の方を見た。彼はふいっと顔を背ける。

「前に陽太んちでピザパーティをしたとき、そう言ってたろ」
「覚えてくれてたんだ」

　ちょっと嬉しい。

　誠一さんがソファに腰を下ろし、晃一がフローリングに直に座った。

「明梨はソファに座れよ」

　晃一がぶっきらぼうな口調で言った。

「ありがとう」

　晃一の言葉に甘えて、私は誠一さんの横にちょこんと座った。視線を感じて右側を見ると、誠一さんが私を見ていた。
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