理想の恋人って!?
 誠一さんのことはとっくに吹っ切れたんだよ、と言おうとしたとき、インターホンが鳴った。リビングダイニングで誠一さんが応答する声が聞こえてくる。宅配ピザが届いたようだ。

「お二人さん、内緒話はすんだかな?」

 誠一さんがドアを開けて、いたずらっぽく言いながら顔を出した。

「別にたいした話じゃないって」

 晃一が慌てたように言うものだから、なぜか私まで慌ててしまう。

「そ、そうですよ! ピザのお金は私と晃一で払います! 車を借りたお礼ですっ」
「そうなの? ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」
「そういうことだから、俺が出るよ」

 晃一が言って玄関ドアへと歩いて行くので、私も後に続いた。晃一がドアを開け、宅配ピザのお兄さんからピザの箱を受け取り、お金を払った。

「後で払うからね」
「うん、よろしく」

 晃一がローテーブルに広げたピザは、私の大好物のベーコンとアスパラのピザと、照り焼きチキンのピザのハーフ・アンド・ハーフだ。缶のビールとオレンジジュースもある。

「兄貴にはビールな。明梨はどうする? ビール? それともオレンジジュース?」
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