理想の恋人って!?
 誠一さんの口調はとても寂しそうだ。別れた彼女のことを思い出しているんだろうか。

「それは……人によるのかもしれませんね」
「明梨ちゃんは?」

 誠一さんに訊かれて、私は考えながら答える。

「私は……普段、すごくがんばってる男の人がふとしたときに弱いところを見せてくれたり……いつもふざけてばかりなのに、意外と真面目な心の中を見せてくれたりすると、キュンってなります。強がってる人の弱ってるところなんか見たら、母性本能をくすぐられちゃうかも」
「へえ、そうなんだ。それはどんな男でもそうなの?」
「えー……それはやっぱりイケメン限定ですよ」

 私の言葉を聞いて、誠一さんがふっと笑った。誠一さんが笑うのを今日初めて見た。

「でも、イケメンじゃなくても、身近にいて普段から知っている男性のギャップを見ても、そう思います」

 私は晃一の方を見た。照り焼きチキンのピザにかじりついている晃一と視線が絡まる。

 海で夕陽を見ながら将来の夢について話してくれた晃一。口を開けば私のことをからかってばかりだから、意地悪でふざけた男だと思っていたけど、将来のことをあんなにしっかりいろいろ考えていたなんて。
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