理想の恋人って!?
 晃一がジュースの缶に手を伸ばしたので、絡んでいた視線は解けた。私はベーコンとアスパラのピザを手に取った。一口かじると、濃厚なチーズにスモークされたベーコン、歯ごたえの残るアスパラが、口の中で絶妙のハーモニーを奏でる。

「んーん! おいしい~!」

 まさに悶絶してしまいそうな味わいだ。

「よかった。注文するとき、明梨ちゃんに確認しなくてもいいのかって晃一に聞いても、あいつ、大丈夫だって言い張るもんだから」
「私、気に入ったものはそればっかり食べる派なんですよね。今はベーコンとアスパラにはまってます」
「そうなんだね。明梨ちゃんが食べているのを見てたら、俺もそっちのピザを食べたくなったな」
「どうぞどうぞ」

 誠一さんにあげようと、ベーコンとアスパラのピザを一切れ取り上げたら、ローテーブルの向かい側から伸びてきた晃一の手にかっさらわれた。

「あーっ、ちょっとぉ」

 文句を言う私に、晃一がしれっとした顔で言う。

「俺も明梨を見てたら食べたくなったんだ」
「もー、わざわざ私から取らなくてもまだあるのに」
「兄貴には俺が取ってやるよ」
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