汝は人狼なりや？（※修正中。順を追って公開していきます）

　常に教室の隅で静かに過ごしているイメージしかない。けれど、時折僕のことを見つめる瞳が冷たいことだけは、知っている。見るもの全てを凍り付かせてしまうような、冷酷な瞳。

　それは僕に対して、嫌悪感を抱いているように思えた。……それは、やっぱり僕がこんなヘタレな奴だからなのかな。

　水無さんは茶色のショートヘアーで、メイド服を着ている。西園寺さんの家から支給されている洋服だとは思うけれど、学校側が何も言わないっていうことは、着用が認められているからなんだろう。

　西園寺さんと同い年である水無さんが、どうしてメイドをやっているのかは……分からない。雇われているのだろうか……。

　西園寺さんに命令された時に返事をする以外は無口で、自分の感情を表に出さなくて、何を考えているのか分からない水無さんは、まるで人形のよう。西園寺さん以外の誰かと話している姿は、先生以外では見たことがないかも……。

　なんにせよ、学校に来ても尚、継続されているらしいその主従関係。水無さんも大変な人生を歩んでいるなぁ〜、もっと学生生活を楽しめばいいのに……と、つくづく思う。

　……まあ、僕が口を出すことでは無いんだろうけれど。


「髪、切っただろ？」

「あっ、分かる？　どう？　変じゃないかな？」

「……別に。いいんじゃないの？」

「なにそれー？！」


　反対側の席から聞こえる、楽しげな男女の話し声。そっと目を向けると、席に着いている野々宮 聡志(ののみや さとし)くんと、向かい合う形で机に両手をつき、仁王立ちしている由良城 慧(ゆらじょう さとり)さんが会話をしていた。