汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 少し前に転入生してきた銀髪に黄金色の瞳の彼は、誰もが認める容姿端麗に頭脳明晰、運動も出来るし、性格も良い非の打ちところがない男子生徒。当然、そんな彼は男女共に人気があって、女子生徒からはほぼ毎日のように告白されている。

 たまに同性の男子生徒にも告白されることがある……って聞いたことはあるけれど、噂によれば、黒月くんは男女共にどんな告白も断っていて、今まで誰とも付き合ったことがない……そうな。

 誰からも相手にされない僕からすれば、もったいないなぁーとは思うけれど……もしかしたら好きな人がいるのかもしれないし、本人にしか分からない事情があるんだろう。とやかく言う権利は、僕にはない。

 振り向いた先の黒月くんは、いつもの穏やかな微笑みではなく、悲しそうな表情を浮かべていた。

 ……なんて顔をしているの? 黒月くん。

 そんな顔もするんだと驚く反面、そんな顔は黒月くんには似つかわしくない。笑っていて欲しいと思う。──けれど、そんな顔さえも絵になるほど栄えるなぁ……美しいなぁ……と思う僕は、おかしいのだろうか。

 彼の首からぶら下げられている、銀色のタグのようなものがついているペンダントが、窓から入る太陽光に当たってキラリと光る。


「思い切り、泣くといいよ」

「……え?」

「妹さんのこと。つらい時は、思い切り泣くといいよ」

「……」


 ビックリした。まさか黒月くんに、直接的にそんな気にかけてもらうようなことを言われるだなんて、思いもしなかったから。

 それとも、黒月くんにそんなことを〝言わせてしまう〟ほど、僕は辛気臭い顔をしていたのだろうか。
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