汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
* ▷ 風子の死
梅雨独特のねっとりとした気候。電気代のことを思うと母の洋子さんには申し訳なくなるけれど、自室のエアコンで冷房をつけ、勉学に勤しむ僕。
妹の風子が部活動から帰ってくるまでには、なんとか一区切りをつけたいところだけれど……。
──がちゃり。
不意に、玄関の扉の鍵が開けられる音がした。ペンを握り締める自分の手がビクリと震える。
まさか……もう風子が帰ってきた……?
予想よりも遥かに早い帰宅に驚く。いったん勉学を中途半端で切り上げないといけないことへの残念な気持ちが半分。風子の顔を早く見れることへの嬉しさの気持ちが半分……僕はペンを机の上に放り出し、玄関へ向かうべく廊下へと出た。
僕の家族は全員、毎日欠かさず挨拶はするし、他の家庭に比べたら笑顔が多い方だと思う。決して、不幸せな思いをしながら毎日を過ごしているわけではない。
……だからこそ、廊下に出る前から疑問ではあった。いつもは聞こえる「ただいま」の挨拶が、今日に限って聞こえない。
そして、廊下へと出て実際に玄関に目をやった時、僕の予想とは違う光景がそこにはあった。
「臣…さん……?」
そこに立っていたのは妹の風子ではなく、父の臣さんだった。
──いつからだろう? 母や父のことを、〝母さん〟や〝父さん〟といった名称ではなく、名前に〝さん〟を付けて呼ぶようになったのは。
妹の風子が部活動から帰ってくるまでには、なんとか一区切りをつけたいところだけれど……。
──がちゃり。
不意に、玄関の扉の鍵が開けられる音がした。ペンを握り締める自分の手がビクリと震える。
まさか……もう風子が帰ってきた……?
予想よりも遥かに早い帰宅に驚く。いったん勉学を中途半端で切り上げないといけないことへの残念な気持ちが半分。風子の顔を早く見れることへの嬉しさの気持ちが半分……僕はペンを机の上に放り出し、玄関へ向かうべく廊下へと出た。
僕の家族は全員、毎日欠かさず挨拶はするし、他の家庭に比べたら笑顔が多い方だと思う。決して、不幸せな思いをしながら毎日を過ごしているわけではない。
……だからこそ、廊下に出る前から疑問ではあった。いつもは聞こえる「ただいま」の挨拶が、今日に限って聞こえない。
そして、廊下へと出て実際に玄関に目をやった時、僕の予想とは違う光景がそこにはあった。
「臣…さん……?」
そこに立っていたのは妹の風子ではなく、父の臣さんだった。
──いつからだろう? 母や父のことを、〝母さん〟や〝父さん〟といった名称ではなく、名前に〝さん〟を付けて呼ぶようになったのは。