汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 みんなも「日比野先生が犯人のわけがない」と、口々に言い合った。きっと、日比野先生だけが誘拐されず、僕たち生徒だけが何か目的があって誘拐されたのだと。

 誘拐されてからどれくらいの時間が経過したのかは分からないけれど、今ごろ僕たちの家族や日比野先生は、行方不明になっている僕たちの捜索届けを出してくれているはず……。


「せめて、誘拐犯の動機や、これから何をしでかしてくるのかが分かればなぁ……」


 上杉くんが困ったように言った瞬間だった。パチンッ──と、部屋の片隅に置かれていたブラウン管のテレビの電源が、ひとりでについた。

 今置かれている状況などのことを考えていて、部屋の片隅にテレビが置かれているだなんて気付きもしなかったけれど、電源がつくということは電気は通っているらしい。

 しんと静まり返ったみんなは、そのテレビの画面に釘付けになる。みんなが目を覚ましたから電源がついた……となると、意図的に電源がつけられたとしか考えられないわけで。

 どこからか意図的に操作されて電源がついたことの時点ですでに怖いけれど、これからなんの映像が流れるのかと考えると……怖さは増す。無意識のうちに身体は震え始める。

 緊張が走る一同。テレビ画面を食い入るように見つめていると、黒い背景に白い言葉が映し出された。


 ──これより、ゲームを開始、致します。


 そう、大きな文字で書かれていた。


「はあ……?」

「ゲームってどういうこと?」


 部屋の中は、クラスメートのみんなの不安を隠せない声が反響しては消えていく。その中には無意識のうちに漏れていた僕の声も混ざっていた。

 僕たちを誘拐した犯人は何を考えているのだろう?ゲーム……って、なに?身代金が目当てなわけじゃないの?

 とめどなく溢れ出る不安が募る中、テレビ画面に映った白い文字は違う言葉へと形を変えた。


 ──ルールをご説明、致します。
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