汝は人狼なりや？（※修正中。順を追って公開していきます）

　人間が素手で人狼に適うわけがないから、そこら辺は甘く設定されているのかな……？でも、人間が人狼と殺し合うっていうそれだけで、ちっとも甘くなんかないわけなんだけれど……。

　４つ目のルール説明の文字がゆっくりと消えていき、やがてテレビの電源は自動的に消される。さっきまで４つのルールが表示されていたテレビ画面を、僕たちはしばらく唖然として見つめていた。

　本当は夢でも見ているんじゃないだろうかと思う、ふわふわとした感覚。地に足がついている感覚が、ない。

　急に人狼だの殺し合いだの言われて、「はい、そうですか」と受け入れられるわけがなかった。


「……っ！」


　──ふと、我に返る。

　……ちょっと、待ってよ。

　今から殺し合いとやらが始まっちゃうの？

　ルールに嘘偽りがないとするならば、このクラスメートの中に世間を脅かせている人狼が本当に紛れ込んでいて、その人狼を殺せっていうことになる……。

　今までずっと一緒だったこのクラスメートの中に、人狼が紛れ込んでいることも信じられないけれど、その人狼と殺し合わないといけないだなんて……なんなの？！このルールは！この状況は！


「意味が分からないよ……。私、帰る……っ」


　震える声を発し、バッと立ち上がった明智さんは、目に大粒の涙をためながら、唯一部屋の壁についている扉目掛けて駆け寄り、ドアノブに手を伸ばす。

　きっと誰しもが唯一の扉の存在に気が付き、その上で扉を開けようと試みなかったのは、はなから見て施錠されていることが丸わかりだったから。

　それでも色々と耐え切れなくなった明智さんは、開かないことが分かっていても僅かな希望を求めてか、そうすることで自分を落ち着かせようとしたのか、開けようと行動した。