嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


事務の前で段ボールを持って立っていたのは、受付嬢の二人で、そのうち一人は私の苦手な釜井さんだった。

いつも睨んでくるのに今日は、極上の笑顔を向けてくる。

「今日、忙しくて整理出来なかったの。でも速達もあったはずだし部署ごとに分けて、速達の封書はその部署の人が居なかったら連絡して貰ってもいいかしら?」
頼まれているはずなのに、何故か私の方がその笑顔に蹴落とされてしまいそう。

でも、前回も思ったけれどこれは理不尽だと思う。
同じ新入社員なら尚のこと。

「今からしたらいいのではないのでしょうか? 事務の人たちも全体の仕事を担当してて忙しいです。定時まで出来なかったから人に押し付けるなんて、おかしいと思いますけど」

自分たちは定時で帰って、オシャレもしているから何処か寄るのかもしれない。
此処で甘やかしたら、事務の塚本さん達にしわ寄せが来る。

「仕方ないじゃない。覚えることも一杯で、忙しいの。貴方みたいに契約社員でもないし、こっちはいつも疲れてるの」
「新入社員なんですから覚えることが一杯あるのは仕方ないです。取り合えず、私はソレ、できません。失礼します」

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