嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「事務の契約のくせに、今、新さんの助手してるから調子に乗ってるんでしょ」
「乗って、ないです……」
「副社長も可哀想に。貴方が林田編集長と揉めたせいで林田編集長の娘さんとの婚約が流れて仕方なく貴方なんかに」
それは誤解だと言いたくても、全く私の話には聞き耳を持ってくれなかった。
こんな人たちと会話するのが不毛だと思い早く新さんが待っているから行かなければというじりじりとした焦りが浮かぶ。
「不破。なんかあったのか?」
紙袋を片手で持ち、気だるけに現れたのは新さんだった。
私の向こうを覗き込み、釜井さんたちを見ると眉を潜めた。
「いえ。もう行きます」
また告げ口だと言われたくもなかったので、二人には目もくれずに立ち去ろうとした。
すると、釜井さんが突然わっと咳を切ったかのように泣き出した。
「私はただ、まだまだ新人で覚えることもあるからって――仕事を手伝って貰いたかっただけなのにっ」