嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「釜井さん……いいよ。こんな人に頼まずに二人で終わらせよう。私も残業平気だよ」
やられた。
新さんの前でこんな嫌がらせを受けるとは。
「事務に仕事手伝って貰いたかったのか。事務は忙しい月は残業ばかりだから暇な時期は定時で帰らせている。仕事は明日じゃ駄目なのか?」
「速達もあるんです」
しくしくと泣き続ける釜井さんに、新さんは溜め息を吐いた。
「新人だとか覚えることがいっぱいだとか二度と言い訳すんなよ。いいか」
面倒臭そうにネクタイを緩めると、まだ温かい紙袋を私に差し出す。
「そんな段ボール1箱ぐらい、四人で作業すればすぐだろ。手伝うぞ、不破」
「そんな……榊原デザイナーの手を煩わせるなんて」
「仕方ねーだろ。気にするな。だが二度目は手を貸さないぞ」
事務の隣の会議室を開けて、電気をつける。
釜井さんたちはもう私には目もくれずに、急いで会議室のテーブルに段ボールを置いて、窓を開け始めた。
残業したくないから私に押し付けようとしたくせに。
告げ口だと影口叩かれるのはうんざりだけど、どうしても手伝う気分にはならない。