嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「うそ」
「本当。だから、私が休憩室を確保してそこに新くんに運ばせて、副社長には混乱する新入社員を落ちつかせるようにステージでマイク持たせて場の雰囲気を和らげてもらっただけ。男ってあんな時全く頼りにならないわ」
じゃあ、二人が頑なにどちらが助けたのか言わなかったのか言えなかっただけで、本当の王子様は塚本さんだったって事か。
「あーあ。ばらしちゃったよ。ひでー」
「新さん」
さっきのシャンパンの掛け合いの名残でまだ髪が少し濡れたままの新さんがこちらへやって来た。やっぱりジャケットにノーネクタイで少しラフだ。
「あら、偽物王子の弟君。そんな小さな事より、まだ副社長が来てないってどういうこと?」
「ああ。今回の交渉は仕事じゃないから、私情でも挟んでたんだろうな。さっき店の前に車が止まってたよ」
「ええ!」
そんなの聞いてない!
ずっと連絡待ってたのに。
急いでカバンから携帯を取り出して何か連絡が来てないか確認しようと下を向いた時だった。
フッと店内の灯りが全て消えて、キャンドルの淡い光のみになった。