嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「!?」
顔を上げたら、――新さんが『キッザ』と小さく笑っていて、ゆらゆらと淡く灯った店内で、彼だけがてくてくと私の方へ歩いてくるのが見えた。
それを新さんがピアノでBGMを流しながら、甘い雰囲気を作る。
「遅くなってすいません。緩奈」
「紡さん」
「君への贈り物の納品が遅れると昨晩連絡があって急いで交渉してきたんだ。受け取って頂けますね?」
まだ呆然と、夢の中にいるような私に、急いできたくれたのか息を切らした紡さんは恭しく傅くと、小さな箱を取り出した。
あの日くれた偽りの指輪でがなくて、キラキラと埋め込まれた大きな宝石がキャンドルに照らされ淡く輝いている。
「君みたいに純情で淑やかな女性にはちゃんと約束してから抱き締めようと決めていました。――指輪を受け取ってくださいますか?」
紡さんのその言葉に、店内の関係者からは拍手や歓声が上がった。