嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
そんな思わせぶりなことを言うと、お祝いムードの中、紡さんは噴水の前まで私を呼びだした。
ジャズの音色をバックミュージックに噴水で皆から隠れるように私だけを見る。
指輪がはめられた指先を甘く唇で這わせ、肩から腰までのラインを優しくなぞると私を引き寄せた。
「だ、誰かに見られます」
「今日ぐらい、見られても大丈夫ですよ」
「紡さんはいつも勝手です。全然、――まだ分からないです」
ふわふわと摘まめない紡さんにそう言うと、ゆっくりと屈んで私の耳元で囁いた。
「やっと今日、帰ったら全て教えてあげるし見せてあげますよ」
その言葉の意味を感じて引き寄せられた腰の手が熱く感じる。
唇をなぞる指先も、その滲むような優しい笑顔も。
「だから、今日、貴方の全てを貰います」
もう離さないと、強い意思が感じられるその言葉胸が甘く締めつけられた。
昨日からのじれじれししていた気持ちがぶっ飛んで行く。
だから今日は素直に彼の胸の中に飛び込んだ。
全て受け止めて全て見せるために。
Fin