嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「ここって」
どこだっけ?
頭を撫で撫でされながら、良く見たら、私は枕じゃなくて紡さんに腕枕されていた。
フェミニストな紡さんは私を起こすわけもいかず我慢してくれていたんだ。
「ホテル。昨日のレストランからは俺の家も緩奈の家も遠かったから。や、違うか。特別な日は、大切にしたいから、ですね」
「紡さん」
「ごめんね。痛かっただろうに、愛しくて我慢できなかった。身体、痛くないですか?」
生々しい発言に首を振ると、ふっと優しく零れるように笑ってくれた。
「全てあげますって言ったのは私です。私こそ、その、不束者でありますが」
「んーん。可愛かったですよ」
蕩ける……という発言はまさにこの人にピッタリだ。
真っ暗にした部屋で、ネクタイを外す音、ベットが軋み音、そしてうっすらと暗闇に浮かぶ紡さんの引き締まった身体。
声、匂い、感触、――痛み。
全て、全て、零さないように必死で背中を抱きしめた甘い夜。
幸せだった。
「良かった。でも、今日はゆっくりしましょう。もう少しごろごろして、ご飯でも食べて、またゴロゴロ眠って、キスして、ね?」
頬を指先でなぞられ、その指が喉まで降りてくると、猫の様に喉を撫でた。