嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
全然大丈夫じゃない。
じゃないけれど、塚本さんにはこれ以上迷惑も心配もかけたくなくて曖昧に笑ってしまう。
副社長の部屋――。そう案内されるからエレベーターが上へ上へ上がるのに緊張してしまうのに、エレベーターは最上階より三つも下で止まった。
「ここよ、ここ。変な構造だけど、許してあげてね」
「ここ?」
海外事業企画部と書かれたオフィスを覗くと、パソコンのキーボードをたたく音が響くだけで、此方を見ようともしない。
「そこじゃなくて、そっち」
塚本さんが苦笑しながら指差したのは、エレベーターの隣にある階段だった。
くるくると回る螺旋階段。
エレベーターの奥にある上へ繋がる階段とは別の様だった。
「副社長、上がりますよ」
下から声をかけると、塚本さんはにっこり笑う。
「じゃあ、頑張ってね」