嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


突き飛ばして、ただただ我武者羅に走って逃げる。

急いで出口に止まっていたタクシーに乗り込むと、一生分は走っただろう荒い息がドッと溢れてきて、酸素が足りなくて苦しい。

「すいません、駅までお願いします……」



やっと行き先を告げ、肩から背もたれにズルズルと倒れる。
もういやだ。合コンにときめいた私の浅はかさが恥ずかしい。

合コンってお酒飲みながら良い人が居ないか探る場所ではないんだ。

怖い怖い。

ポーチを取り出して眼鏡をかけて鏡を取り出す。

サーモンピンクで、思ったより艶々だったのかもしれない。

濡れティッシュで拭いてからもう一度塗り直そうとポーチを漁る。

……ない?

ガサガサ探してみても、見当たらない。


「そんな」

「忘れ物なら、戻りましょうか?」

「――いえ、良いです。電話……してみます」

大事なリップというのかな。
世界に二個だけしかない、私だけのオリジナルリップなんだけど。

今は、あの怖い場所へ戻る気にもなれなくて。

逃げてしまった。


ソレが良かったのか悪かったのかは、私にはもう分からない。



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