嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
昔住んでいた大きな家で、祖母が育てていた薔薇の花。
その家を手放す時に、祖母が寂しそうにしていたので、私はスケッチに薔薇を描いた。
祖母はそれをとても気に入ってくれて、その後、デザイナーに頼んで身につける物を作って貰った。
私にも、リップとハンカチを作ってくれたけれど、イラストをプリントしたような安い作りじゃなくて、紋章のような金色の縁に、絵画のように埋め込まれた薔薇の花。
特別な時にしか付けて来なかったんだけど、――昨日は内定の報告だから付けていたんだ。
お店に電話しても届けはないらしく、閉店後に探してくれるらしい。
また今日電話しなくちゃ。
髪を一つに括り、スーツを身につけコンタクトを恐る恐る目に入れてから、数回パチパチ馴染ませる。
視界はクリアになった。
契約社員だけれど、お婆ちゃんの顔に泥を塗らないように気をつけなければ。