嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「新さん、午後からの打ち合わせ、うちでするんじゃないですか!?」
資料を用意しながら、壁にかけられた時計を見上げる。
「そうだったな。資料は間に合うんだろ?」
「でも、お菓子を何も用意していませんでした。何がいいですか?」
「何でも良いって」
何でもいいわけないのに。
ケーキにしようかな。いや、最近出来たベーグル屋さんに行ってみようかな?
薄いカーディガンを羽織りながら、財布を片手に飛び出す。
「ちょっと塚本さんに用意できるものあるか聞いて、無かったら適当に見繕ってきます」
「じゃあ、ついでに俺も行こうかな」
株だの円だの見ながら、新さんのデザインも見ていた紡さんが立ち上がる。
「それまで、新はもう少し頑張っていなさい」
肩を叩いて優しく激励すると、私の隣を歩き出す。
「あの」
「新のデザインが決まるまで、俺は比較的暇なんです。一緒に行きましょう」
有無を言わさない笑顔に、頷くことしか出来なかった。