鏡の中
その鏡を持った志は、教室に向かっている途中ユーターン。
戻って図書室へと向かった。
そう、そのままサボろうと思ったのだ。
…鏡を持ったまま。
志が図書室に着いた時、ちょうど休み時間が終わったらしく、重々しいチャイムが鳴った。
みんないっせいに椅子を元の場所に戻し、次の授業の話を始めていた。
「次科学だー西山じゃーん。」
「え!次科学なの?嫌なんだけど。」
「西山ねちねちしてるからねー。だから彼女できなんだよー。」
ハハハ…。
図書室を思わせる静けさはなかった。
志はなぜかいつも座っている窓側の席を避け、一見誰からも見えないような寂しい席を選んで座った。