鏡の中
お風呂場には、志の性格がとてもあらわれている。
それがおかしくて、那は笑った。
いつ見てもほほえましい。
綺麗に並べられたシャンプーやリンス。
絶対にくっつけて置くのが彼の癖。
まるで、放したらだめなんだ、とでも言いたいようだ。
実は寂しがりやである、志。
こんなところにそれが表れているなんて、可愛くっておかしくって、もう幸せな涙がとまらない。
それから、鏡。
志は鏡が嫌い。
だから、お風呂場には鏡がない。
もちろん家のどこを探しても…ない。
那の現在への切符である、鏡をのぞいては。