鏡の中

繋がらない






志は心配して、大学でもそわそわしていた。


いつもなら必ず連絡を入れてくる那が…メールすらよこさない。



朝変わった様子はなかったのにな、と考えをめぐらせる。





「だあーもお!」


もやもやしていると、不安しかでてこない。



そんなときは帰るに限る。




「悪いけど、次の講義の出席名簿回ってきたらさ、俺のとこにもチェックしといてくんね?」


少し困った表情で、隣にいた女に声をかける。




この女には、前にも頼み事をしたことがある。



「お願いできないかな?」


ちょっと微笑みかけると、その女は耳まで赤くしてただただ首を縦に振った。



「ありがと。」




女に名前を書いた紙を渡し、急いで駅へと向かった。




< 104 / 142 >

この作品をシェア

pagetop