鏡の中




志の中にゆっくりと黒い闇が立ち込める。



その闇で侵食される前に、志はドライヤーのスイッチをいれた。


うるさい風音。



やけくそになった志は、音なんて気にせずに…那の髪を乾かすでもなく…ただ音と風だけを感じていた。






過去。

絶対に自分には手の届かない世界。


那の過去を、知りたかった。


そして…その過去に触れたいと思った。




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