鏡の中





気づかないうちに、夏休みが始まった。


夏休みが始まると同時に、志はバイトを始めた。

自分で働かなくてもお金には困っていなかった志が、自分の時間をバイトに費やすなんて今までだったら考えられなかった。

那が、どうして急に働くの?と聞いても、志は答えてくれなかった。




那が深く追求しなかったのも、それはきっとなんとなく心当たりがあるからで、後ろめたいことがあるから…そして何より、自分も追及されたくないから、しない。


志が答えなかったのは、志に自分の心の中の不安を見られたくなかったから。





しかし、このときくらいから…2人の生活は段々とすれ違うようになっていた。




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