鏡の中





那は志の異変に気づいて、すぐに距離をあけた。


志の家に半同棲していたのに、少しずつ荷物をまとめて、志が気づかない程度に減らしていった。

理由は…なかった。




ただ嫌われたくないから。

そして掴みきれない理由に困惑しながら、その嫌われたくないの一身で、逃げた。



それは…自己防衛でしかなかったのだけれど。




段々と失われていく二人の接点は、いつしかごくわずかなものとなっていた。






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