鏡の中





志に対して後ろめたいことならたくさんある。


喋っちゃいけない、これが裏目に出たんだと思う。




でも…このことに触れなくても、志の心には触れたかった。


楽になってほしかった。




「ねえ、志」

「ん?」

「この前、信じてもいいのかって聞いたでしょう?」


今までずっと触れなかったのに、いきなり私が聞いたからびっくりしてる。




「覚えてないかな?」

「ああ」

「ごまかしたって、なんでもお見通しなんだよ!」

「…」


志は顔を伏せてしまった。



もうだめなんだと思った。





< 118 / 142 >

この作品をシェア

pagetop