鏡の中
志に対して後ろめたいことならたくさんある。
喋っちゃいけない、これが裏目に出たんだと思う。
でも…このことに触れなくても、志の心には触れたかった。
楽になってほしかった。
「ねえ、志」
「ん?」
「この前、信じてもいいのかって聞いたでしょう?」
今までずっと触れなかったのに、いきなり私が聞いたからびっくりしてる。
「覚えてないかな?」
「ああ」
「ごまかしたって、なんでもお見通しなんだよ!」
「…」
志は顔を伏せてしまった。
もうだめなんだと思った。