鏡の中




志がいつも那を抱きしめるときの腕は、とても力強い。

雰囲気からは、がっちりしてるものは感じ取れないのに、抱きしめる腕は…とても頼りになる腕で。


何より安心感をもたらす。



でも那は気づいてしまった。





志は…志の腕は…



震えていた。






自身に満ちていて、絶対放さないという想いが伝わってくるいつもの腕は…そこにはなかった。





那は静かに泣いた。





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