鏡の中
「俺さ、最近ドラマみたいな夢見るんだわ。毎日途切れ途切れで、結末をはぐらかすみたな夢。だけど、今日突然つながったんだ。それさ、バラバラだと思ったら全部つながってたんだよ。」
なぜか那の心臓ははねた。
「え?どうしたの急に。」
…ぎこちなく笑うことしかできなかった。
「ずっと言おうって思ってたんだ。でも忘れちゃうんだよね。
夢を見るその瞬間に、気づくの。あ、俺また那に言い忘れてたって。」
そんな志の横顔はどこかはかなげだった。
「それは言わないほうがいいって誰かが操ってるんじゃない?」
ふふふって笑い合う。
「そうかもなーでもいやにリアルでさ。今日ははなれねー。」
「そっかあ」
那はあえて続きを促さなかった。
志の横顔から、きっとよくない夢であることは安易に予想できたから。
「聞かねえの?」