鏡の中
疑い始めてからの志の行動は的確だった。
まずお風呂場の鏡の有無を確かめた。
そこにはなかった。
そして、洗面所以外の鏡の有無も確かめた。
案の定なかったんだ。
次にベッドを再度確認した。
ベッドにはタオルがないと眠れない志。
昔からひとりだったから、母か誰かが志に渡したのが始まりだったのだろう。
それに慣れてしまった志は今でもずっと、それを続けていたのだ。
ベッドにタオルは…あった。
本気で怖くなった。
疑いは確信へと変わった。
(間違いない…ここは俺の部屋だ。)