鏡の中
deux
女
目を覚ますと人の匂いがした。
ぬくもりがあった。
驚いて目を覚ますと、そこには女が全裸で悩ましげな顔をしたまま寝息をたてていた。
どうすることもできない志。
(俺何した…こいつ誰…)
不安にならないわけがない。
今まで毎日家に誰かしらいた。
もちろん男女問わずいた。
女は飽きるほど抱いた。
でも…よく知らない女はあまり抱かない。
変に勘違いされたら困るから。
なのにまったく身に覚えのない志。
頭をかかえ、必死で思い出すんだ。
そして自分を呪う。
誰彼かまわず抱きたいわけじゃないんだ。
(やべーな。)