鏡の中
「ねえゆっきー。」
那はにこにこと志をみている。
志は女になれなれしくされるのが嫌いだったのに、そう呼ばれることに違和感なく、つられて微笑みこう返した。
「ふゆさ、ゆっきーって呼ぶのやめろよな。」
那は満足げにもう一度ゆっきー、と呼び抱きついた。
「俺悪いけど、覚えてねーんだわ。やってねーよな?」
「へへ。ゆっきー倒れてたから頑張って運んだんだよー。それでね、ちょっと暑くなっちゃったから服脱いじゃったの。」
そういわれてみれば、洗面所以降の記憶が志にはなかった。
返事をしない志を気にせず那は続けた。
「でも大丈夫。ただ脱いだだけだよ。それにパンツははいてるんだよ。」
きゃははって笑って、見る?って那は怪しげな視線を志に送る。
志はこくんとうなずいて、那の口をふさいだ。