鏡の中




「志?」




…彼を呼ぶ、切なげな女の声。







綺麗な顔を寂しそうにゆがめる志の寝顔を、涙を流した那はまぶしそうに見つめていた。


そして、彼の寂しさを汲み取るように、那はそっと志に口づけをした。






「んー…」



志の顔は穏やかになっていた。



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